Forge of Empiresレビュー――原始のボロ小屋から宇宙都市のビル群へ、ひたすら走れ!
もし『シムシティ』と『シヴィライゼーション』がこっそり子どもを作り、その子がガチャや時短を覚えたら、きっと『Forge of Empires』(フォージ・オブ・エンパイアーズ)はその成れの果てだろう。最初は藁葺きの小屋いくつかと、数分ごとに回収できるコインと物資だけ。テクノロジーを研究して時代を進め、青銅器時代、鉄器時代、植民地時代…と、どんどん文明も建物も進化。時代ごとにテックツリーも軍隊もスペースのやりくりも全部変わる。
石器時代へようこそ:最初の数クリック
とある日の初日。画面には、芝生とテントと、インターンが投げやりに描いた焚き火っぽい何か。ここが俺の王国の始まり――石器時代。ミッション?このプリミティブなプレハブ村を帝国に変えること。それだけ。やれやれ。
チュートリアルが建設メニューをぽいっと渡し、「小屋を建てろ」と優しく命令。言われるがまま設置。数秒で完成。サクッと建った。
…が、唯一の人口が消滅。労働者ゼロ。建設も何もできず、小屋と虚しさだけが残った。
これがこのゲームの醍醐味。どこかで必ず壁にぶつかる。穴埋め策を打つとまた別の制限。「建てすぎ」なら経済が破綻。「のんびり」してると周囲はもう鉄器時代のワインパーティー。すべての行動にコイン、物資、土地、そしてプライドまでがコストになる。
フォージポイント、ダイヤ、そして待機地獄
このゲームの主役はフォージポイント。1時間に1個だけ。テクノロジー研究や建物アップグレード、トレードもこれ頼み。命の水だってのに、配布はスポイトレベル。
最初はそれでもなんとかなる。数ポイント消費してビル強化、運よく小競り合いで勝利、満足して撤収。でもね、だんだん足りなくなる。例えば青銅器時代の技術、16ポイント必要。ストックゼロ?また1時間後。もっと後かも。
ダイヤも当然ある。序盤のクエストクリアで「50個どうぞ」。お、ラッキー。
…でも欲しい建物は250、時短ボタンは1000。序盤のばら撒きは単なる撒き餌。毎度毎度のやつね。
正直、最初は耐えた。本当に耐えたんだ。でも鉄器時代が3時のバイキングみたいに目の前に現れて…負けました。500円、試しに課金。科学のためだもん。…別に誇れる話じゃない。
戦闘の基本:ヘクス、槍兵、そして苦い経験
次は戦闘。だいたいこの手のゲームって「オート解決→即寝落ち」が定番。でもこのゲームは違う。ちゃんとヘクスバトル。ちゃんとターン制。しかも手動。
初バトルは槍兵2人+謎の希望で、めちゃくちゃ怖い部族戦士にチャレンジ。弓を撃つと外れる。斬ってもいまいち強くない。でも、意外と楽しい。
進めていくと戦略も深まる。弓兵は遠距離得意、騎兵は横取り、攻城兵器はちょっと動かしただけで大爆発。
本気出せば結構奥深いけど…リソース消費はそれなり。自動戦闘は時短できるけど、手動だと采配が活きる。兵士の再訓練はタダじゃないし、やられると再編成待ち地獄に突入。だから段々「確実に勝てそうな時しか戦わない」癖がつく。
賢く立ち回った人だけ得する仕様。でもミスへの耐性ゼロ。ちょっと油断しただけで1日分パー。焦って道路タイルまで削除しまくる羽目に。
ギルド加入:損得勘定カルトへの入信
約6時間後。ギルドが解放。仲良し協力プレイでもあるのかと思えば…飛び込んだ先は完全なるエクセル信者の集会所。表、タイマー、90年代掲示板テンションのガイドだらけ。半分以上知らない単語。
…でも意外と超重要。
ギルド界隈は、普通の街づくりが一気に投資経済に変貌。他人の**グレートビル(超レア建造物)**にフォージポイントぶっ込んで、上手く分配できればお返しもしっかりリターン。当然みんなが夢中なのは「アーク」。ポイント錬金装置みたいなもん。
ただし、建てるのに未来時代の謎リソースが必須。うちはまだ土鍋で水沸かしてるレベルなんだけど?仕方なく全資源をトレード、知らない人相手に営業メール、よくわからん取引もちょっと…最終的に無理やり資材集めて建築。
アーク建ったら、流れは一変。フォージポイントが回転し始める。ギルドは完全エクセル道場だけど、不思議と心地よさすら出てくる。地味に経済シムとしての裏側が深い。なぜ回るのか分からないけど、確かに潤っていく…
追われるイベント、終わらないクエスト
飽きさせない工夫として、イベントの嵐。夏祭り、秋のパン焼き大会、サッカーチャレンジ…報酬のために全員参加必須。
楽しいけど…多い!
しょっちゅうログインしては、クエストを消化し、ビルを強化し、何かをクリックし…そして2時間後にまた同じ流れ。簡単なものもある。「コイン集めて!」や「誰かと1戦だけ」とか。ただし時々お題がぶっ飛んでる。「フォージポイントをぴったり47個使い、鍛冶屋を3軒建てて、ついでに隣人の犬を撫でろ」みたいな雑な要求。
気づけば隙間時間にスマホを起動、「連続出席記録」のために仕事中もポチポチ…。このゲーム、帝国作りじゃなくてルーティン育成型アプリなんじゃという気まで。剣と魔法を装ったカレンダーアプリ。
泥小屋から宇宙神殿、そしてその間の焦燥感
数日経つと、町はカオス絵図。茅葺きの隣にレンガ道、やたら豪華な未来型寺院、村の中心には謎のヤギ像。…機能してる、多分。
タイム管理もバッチリ。テック計画も10個くらいストック済み。「これ、俺、天才では?」
そう思ってランキングを覗いてみると…
上には上がいる。都市はまるで国家、全建物フル強化。宇宙時代の技術、アークもカンストして俺のが棒人間に見えるレベル。自尊心も即死。
やり方、間違えてた?ビル急いだ方が良かった?ポイントもっと稼ぐべき?また課金…?
いや、これでいい。
でも『Forge of Empires』は“満足”させてくれない。次の一歩、次の報酬、ずっと何かを追わせてくる。絶妙に意地悪で、でもやめられない。つい、明日もログインしてしまう。